補助金の効果とは? – GUILD CLUB – Homepage Guilder  ホームページ ギルダー

John Maynard Keynes

前回補助金についてのアナウンスをおこないましたので、今回は補助金について考えてみました。

あなたは補助金が何のために支出されるのかご存じですか?



中小企業庁が委託運営をおこなっている「ミラサポ」によると、以下のように記述されています。

“事業者のみなさまのために、国の政策目標がありますが、目標を達成するためには、その目的にあった事業を、事業者のみなさまに、広くあるいはしっかりと取り組んでもらうことがとても重要です。”

“「補助金」とは、そのような事業にたいして実施のサポートのために給付するお金のことです。”

“補助金を給付することを「補助金を交付する」といい、企業、民間団体、個人、自治体などの事業者の方々が交付を受けられます。”
“補助金を交付することにより、事業者の取り組みがひろがり、ひとつひとつの事業展開・拡大をサポートすることで「効果」を大きくしていくことがねらいです。”   ※ “ ” 部は,ミラサポからの引用を示します。

要するに、「国の政策目標となる事業をおこなう者に、お金を給付しサポートしてあげるよ」というものです。


では、もっと異なる視点で補助金を捉えることは出来ないでしょうか?

あなたは、「乗数効果」という言葉をご存じでしょうか?
このような目的をもつ補助金も経済学の観点から考えると、非常に合理性のあるものだということが理解できると思います。

以下に、その点を解説していきます。

乗数効果とは、政府支出(公共事業や補助事業等、この補助事業の中に補助金が含まれる)を増やすことにより、GDP(国内総生産)を増加させるという効果を指します。ここでは、GDPを国内景気と読み替えていただけると判りやすいと思います。

例えば、ある企業が補助金100万円を受け取って、その補助金で100万円の自動車を購入したとすると、自動車販売会社は車が売れたことで100万円の所得になります。ここで、限界消費性向(※)が0.8とすると、その100万円のうち80万円(100×0.8)が消費されることになります(言い換えると、自動車販売会社は80万円を支出することになります)。次いで、80万円を受け取った自動車メーカーには80万円の所得が発生し、64万円(100×0.8の2乗)が下請企業に渡るという循環が発生します。このような循環が所得がなくなるまで続くことになり、これを合計していくと500万円が導き出されます。つまり、100万円の補助金が最終的には、500万円の所得を生み出したことになります。

このように、最初に支出された金額が最終的にどれくらいの増加をもたらすかを乗数効果と呼びます(詳しい計算については、webで「無限等比級数」と検索してみてください)。

こうした観点から眺めると、補助金についての捉え方が変わってくるのではないでしょうか?
また、少しでも景気回復の数値を上げたい(実質GDP成長率を年率2%にしたい)現政権にとっては、重要な意味を持つのでしょうね。

但し、上述の計算は判りやすく説明したもので、限界消費性向の数値も実際とは異なるうえ、海外との貿易も考慮していませんので、実際はもう少し複雑となり効果も全く異なります。


※限界消費性向(marginal propensity to consume)
国民所得が1単位増加した時に何単位消費が増加するかを示します。
(所得が1万円増えたら、使えるお金が6,000円増えた場合は限界消費性向が0.6となります)
この限界〜という概念は経済学上においては、非常に重要です。
cf. 限界代替率(marginal rate of substitution)

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