日本政策金融公庫主催セミナー 報告 【其の二】 – GUILD CLUB – Homepage Guilder  ホームページ ギルダー

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では、本題です。
第一部 「決算書で自社を語ろう」
内容について、ご紹介します。
(本ブログで取り上げることで、復習となるため、自分にとっても有益です。)
Ⅰ.中小企業を取り巻く金融環境
Ⅱ.中小企業施策の変化と求められる経営者像
Ⅲ.財務経営力・資金調達力を強化するには
Ⅳ.おわりに


Ⅰ.中小企業を取り巻く金融環境
 

  • 日本の中小企業
    中小企業の占める割合は、国内420万企業のうち99.7%
    従業者数・付加価値額(製造業)においてもそれぞれ66%・53%以上を占める
  • 中小企業を取り巻く金融環境
    国税庁の発表によれば、75%の法人が赤字
    ここで、「75%の企業が赤字だから仕方がない」と捉えるか、「25%の黒字法人は何が違うのか」と捉えるかで結果は大きく異なることに・・・
  • 信用保証制度の効果
    ・信用保証制度は、急激な景気後退期における当面の中小企業の倒産回避に一定の効果を果たす。
    ・とりわけ、セーフティネット保証や東日本大震災復興緊急保証など、借入金の100%を保証する制度については、金融機関がリスクを負わないため、中小企業の資金調達を容易にしている。
    ・信用リスクの高い中小企業であっても、低コストでの資金調達が可能。
    他方で、以下の点については?(疑問点・反省点)
    ・100%保証の借入れは、金融機関のガバナンスが働かない中、経営の合理化や売上高の増大に繋がったか(損益計算書の改善に繋がったか)?
    ・借入金の増加が、中小企業の事業規模を拡大させたか(中小企業の成長に寄与したか)?
    ・金融機関は、リスクがゼロの貸出先に対して、経営支援を行うインセンティブが働くか(業況が悪化した際、安易に不良債権処理を行うインセンティブにならない)?
    (※この場合のインセンティブの意味は、「動機づけ」と考えればよいかと思います。)
    ・金融機関が経営支援を行い、中小企業の収益拡大及び成長に繋がるような仕組みが必要ではないか?

これまでは、信用保証制度に助けられて中小企業の資金需要が賄われてきたという事実関係が述べられています。
これは、次に続くある変化を企業経営者に求めるための理論的根拠として、引用しているものと考えられます。
したがって、かなり重要な事項であると読み取れます。


Ⅱ.中小企業施策の変化と求められる経営者像

  1. 保証協会・土地担保・個人保証に代わる仕組みの構築
    ・中小企業信用補完の課題
    論点:①100%保証(セーフティネット保証)に依存
       ②土地担保、個人保証主義等
    ◎リーマンショック後、信用保証は中小企業の資金繰り改善に寄与。
    ◎土地担保や個人保証も、資金調達を行う上で円滑に寄与。
    ◎従来から、担保や保証に基づく施策に重点を置いてきたことにより、結果としてリスクの評価に基づく金融の仕組みの構築が阻害されてきた面がある。
    ・中小企業の課題
    ①自らの経営状況の把握と説明が不充分
    ②適切な資金調達が出来ていない
  2. 監督指針の改正 第三者保証の原則禁止 ←ココ大事
    経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立等
    ・個人連帯保証契約については、経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする方針を定めているか。また、方針を定める際や例外的に経営者以外の第三者との間で個人連帯保証契約を締結する際には、必要に応じ、「信用保証協会における第三者保証人徴求の原則禁止について」のける考え方を踏まえているか。
    (H23.7改正金融庁:中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針)
    これを一読すると、借り手側にとって非常に有難いことのようにも読み取れますね。しかし、後で出て来ますが、これには経営者にある一定の要件を課しています。
  3. 中小企業施策の変化と求められる経営者像 ←ココ大事
    中小企業金融円滑化法の延長とその方向性
    ここの部分については、最も重要と思われるので以下に表を貼付しますので、じっくりと内容をご確認下さい。

Finance

この表で最も重要なことは、左側の債務者区分でいう2に該当する要注意先についてです。
ひとたび、金融機関から要注意先と認定された場合、経営改善計画策定支援を金融機関に対して、課すという方向性にあります。
これを反対から見れば、借り手側は経営改善計画の策定なしには支援を受けられないことになります。

  1. 具体的な施策のあり方
    いよいよ、ここからが権利と義務という関係で考えるならば、義務にあたる部分です。
    中小企業の財務経営力の強化を目指して
    新たな会計ルールの整備・活用
    記帳能力など中小企業の実態に即した会計ルールの整備
    自らの経営状況(損益計算書、貸借対照表等)や資金繰りへの説明能力を高める
    期中管理体制の定着及び金融機関に対する説明能力の向上支援
    上記2点を企業経営者に課すために、地域金融機関や支援機関・支援人材として商工会・税理士事務所等を活用して、支援体制を作るとも考えられます。
  2. 新たな中小企業会計ルール(中小会計要領)の活用
    企業会計の活用を通じた財務経営力・資金調達力の向上
    要求される事項(7項目)
    ①適時・正確な基調
    ②信頼性ある基礎財務資料の作成
     ・試算表
     ・資金繰り表
     ・金融機関別残高表等
    ③信頼性ある基礎財務データを利用した経営分析
    ④分析結果に基づく経営改善
    ⑤信頼性のある決算書の作成
    ⑥会計ルール準拠の確認
    ⑦事業計画書の作成
  3. 中小企業施策の変化と求められる経営者像 ←ココ大事(Ⅱ章のまとめ)
    これまでのスタンス・・・「弱い企業を助ける」

    これからのスタンス・・・「頑張る企業は応援する」
    金融機関の融資姿勢が、
    「担保主義・保証主義」から「決算書担保主義」
        ↓

    財務経営力資金調達力の強化が課題
    ということで、では「どうしたらいいの?」「自分に出来るの?」と疑問を感じる方が大半ではないでしょうか?

そこで、次回は財務経営力と資金調達力を強化するためにはどうしたら良いかを検証して行きます。
乞うご期待・・・

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